
結婚して何年経ったでしょうか。いつの頃からか、夫のいびきは我が家の夜の悩みの種でした。優しい夫の、唯一にして最大の欠点(本当にごめんね、パパ…でも事実なの)。最初は笑って「怪獣みたいだね~」なんて言っていた私も、日に日に深刻さを増すいびきに、正直なところ耐えきれなくなっていきました。
そして、ついに数年前から私たちは夫婦別室という、ちょっぴり寂しい選択をせざるを得ませんでした。愛する夫と同じ部屋で眠れない。それは、想像以上に寂しく、そして切ないことでした。「いつかまた、一緒に…」その思いをずっと胸に秘めていたのです。
「もしかして、睡眠時無呼吸症候群…?」
テレビやネットで見聞きするその言葉が、ふと頭をよぎったのが全ての始まりでした。健康オタクとまではいきませんが、やっぱり夫には元気で長生きしてほしい。そして何より、私も隣で安心して眠りたい!(切実)
意を決して、夫、検査へ。CPAPへの長い(ようで短い?)道のり
まずは、夫を説得するところから。これが第一の関門でした。「俺、大丈夫だよ~」なんて楽観的な夫に、いびきの録音を聞かせたり(効果てきめん!)、睡眠時無呼吸症候群がいかに体に悪いかを熱弁したり。まるで口説き落とすかのように、あの手この手で検査を受けることを承諾させました。
以前、簡易検査は自宅で小さな機械を装着して行ったのですが、その結果、やはり精密検査が必要とのこと。てっきり1泊入院になるのかと身構えていたら、なんと自宅に検査キットが送られてくるスタイルでした!これは、仕事が忙しい夫にとっても、私にとってもありがたいシステム。
そして、衝撃の検査結果が。
「1時間に40回、呼吸が止まっています。重度の睡眠時無呼吸症候群ですね」
検査の結果、1時間に40回…?想像を絶する数字です。夫は眠っている間に、そんなにも苦しい思いをしていたなんて。もっと早く気づいてあげられなくてごめんね、という気持ちでいっぱいになりました。
診断が確定し、医師から勧められたのが、CPAP(シーパップ)療法でした。鼻にマスクをつけて、機械で空気を送り込み、気道を広げて呼吸を助けるというもの。
「これを使えば、きっと…!」
夫婦別室を解消できるかもしれない、という期待と、夫の健康が改善するかもしれないという希望。機械を選んだり、使い方をレクチャーされたりする夫。
さて、気になるのがお値段ですよね。CPAP療法は、健康保険が適用されます。それでも、月額は大体5,000円弱くらい。毎月のことなので、家計的には決して安くはありません。でも、これで夫の健康が守られて、そして何より、私たちが再び同じ部屋で眠れるようになるなら…!これはもう、未来への投資です!
CPAPを装着して眠る夫の姿は、正直ちょっと見慣れない光景です。まるでぞうさんみたい(笑)。でも、その効果は、私たちの想像をはるかに超えるものでした。
あれほど轟いていた「ゴゴゴォォー!!」という、地響きのような夫のいびきが、ピタッと止まったのです!
本当に、静かなんです。聞こえるのは、夫の穏やかなスースーという寝息だけ。そして、何よりも嬉しかったのは、数年ぶりに、夫と同じ部屋で朝を迎えられたこと。隣に夫がいる安心感。それは、言葉では言い表せないほどの幸福感でした。
「ねえ、いびき、全然かいてなかったよ!すごいね!一緒に眠れるって、こんなに嬉しいんだね!」
興奮気味にそう伝えると、夫は少し眠そうに目をこすりながら、こう言いました。
夫「うーん…そう?でも、なんか、あんまりスッキリ起きられないんだよね…」
…え?
そうなのです。いびきは確かに止まった。客観的に見て、睡眠の質は上がっているはず。そして、私たちは再び同じ部屋で眠れるようになった。でも、夫本人は、CPAPを使い始める前と比べて、特に「朝スッキリ目覚められるようになった!」という実感は、今のところあまり無いようなのです。
うーん、これはちょっと予想外。1時間に40回も呼吸が止まっていたのだから、すぐに爽快!とはいかないのかもしれませんね。
まだ始まったばかり。長い目で見ていこう。
CPAPを使い始めて、まだ数週間。機械に慣れるのにも時間がかかるのかもしれませんし、効果の実感の仕方には個人差があるのでしょう。
私としては、あの騒音が無くなり、数年ぶりに夫婦で同じ時間を共有できるようになっただけでも、本当に感謝しかありません。でも、やっぱり夫自身にも「CPAPのおかげで、よく眠れるようになった!」と心から実感してほしい。そうすれば、毎月の費用だって、もっと前向きに捉えられるはずです。
もしかしたら、マスクのフィッティングがまだ完璧ではないのかもしれないし、設定の調整が必要なのかもしれません。次の診察の時に、先生に相談してみようと思っています。
夫の睡眠改善への道は、まだ始まったばかり。そして、私たちの「一緒に眠る」というささやかだけれど大切な日常も、再び始まったばかりです。隣で静かに眠る夫の寝顔を見ながら、いつか「CPAP最高!」と笑ってくれる日が来ることを、心から願っている今日この頃なのでした。
そして、今夜も私は、夫の穏やかな寝息を聞きながら、数年ぶりに感じる温かい安心感の中で眠りにつきます。ありがとう、CPAP! そして、頑張れ、夫!

