
訪問介護として、私は6年間在宅での支援に携わってきました。関わった方の数は数えきれませんが、その一人ひとりとの関わりが私の介護観を深め、今でも忘れられないエピソードとなって心に残っています。
その中でも特に印象深いのが「排泄の介護」。介護をされる方も、介護をする側も、心にも身体にも大きな負担がかかる場面です。だからこそ、誰かの参考になればと願って、今回はそのことについてお話したいと思います。
排泄の失敗がもたらす“こころ”のダメージ
排泄の介護はとても繊細です。身体のケアであると同時に、心のケアでもあります。
あるご利用者様は、「これじゃ三歳児と一緒やね」「いい年して恥ずかしい」と、深く落ち込まれていました。「汚いことをさせて悪いね」と申し訳なさそうに、でもどこか悲しげな目で私を見つめる姿に、胸が締めつけられるような思いを何度も経験しました。
その時私が心がけていたのは、『寄り添う言葉』です。
- 「大変でしたね」
- 「気持ち悪かったでしょう。今からきれいにしてスッキリしましょう」
- 「ちょうどいいところに来てよかった!」
こんなふうに、なるべく安心してもらえる声かけを意識しています。心の中では「おー!どこから対処しよう。落ち着け〜」とバタバタしていても(笑)、表情や言葉はあくまで穏やかに。これが、プロとしての自分の役割だと感じています。
よくある排泄トラブルと対応
在宅介護では、さまざまなケースがあります。
- 紙パンツをトイレに流してしまう
- 汚れた紙パンツをタンスにしまってしまう
- 濡れたままの紙パンツを履き続けてしまう
こうしたことが重なると、お部屋に尿や便のにおいが残ることもあります。
コスト面から考えても、紙パンツにパットを併用し、汚れたパットだけを交換するのが理想です。でも、ご利用者によってはパットの取り扱いが難しく、紙パンツのみで対応して、訪問時にヘルパーが洗って交換することも多くあります。
また、トイレの床や廊下に便が落ちていたりすると、「下痢かな?」「何か傷んだものを食べたのかな?」と観察しながら、感染症にも気をつけて対応します。介護というのは本当に五感をフル稼働させて取り組む仕事だとつくづく感じます。
家族だからこそ、難しいこともある
「家族がいるから安心」と思う方も多いかもしれませんが、実は介護は“距離の近さ”が負担になることも多いんです。
親子、夫婦という関係性があるからこそ、「なんでこんなこともできないの」とつい言葉がきつくなってしまう。感情がぶつかってしまう。そんな相談を何度も受けてきました。
私自身、現場で多くのヘルパーさんと話してきましたが、「プロの私でも、自分の親の介護は難しい」とみんな口を揃えます。
だからこそ、声を大にして言いたいのは――
“ひとりで抱えこまないこと”
プロや、頼れる人、そして使えるサービスには遠慮なく頼ってください。頑張りすぎると、心も体もすり減ってしまいます。介護において「頼ることは甘えではない」ことを、もっと多くの人に知ってほしいのです。
最後に
介護は一つとして同じ日がなく、毎日が試行錯誤の連続です。でも、誰かの生活を支え、「ありがとう」と笑顔をもらえる瞬間や、会話の中で素敵な思い出話を聞けることがとっても楽しみです。生き方や考え方の大きなヒントをもらえることがあります。
今後、あなたやあなたの家族が介護サービスを利用することになったとき、この経験が少しでも参考になれば嬉しいです。そして、もし迷いや不安を抱えたときには、どうか一人で悩まないでください。誰かに話すこと、頼ることは、介護の第一歩です!!

