
私はこれまで6年間、訪問介護の仕事を通して、数多くのご利用者さまの「暮らし」に寄り添ってきました。在宅での介護は、その人らしい生活を支えるというやりがいがある一方で、悩みや葛藤もたくさんあります。今回は、私が日々感じていたことや、実際に携わっていた支援内容を綴りたいと思います。
一番多かった「朝の支援」
在宅介護のなかでも特に多かったのが、デイサービスへ出かけるための「朝の送り出し」の支援です。
認知症の方の一人暮らしでは、「◯時に準備して待っている」ということが難しい場面が多々あります。私たちが訪問するタイミングで、まだ寝ていたり、支度が全くできていないことも珍しくありません。そんな時はまず起こすところからスタートです。
- 起床介助
- トイレやオムツの交換(パンツ型の履き替え含む)
- 朝食の準備と見守り
- 着替え
- 口腔ケアと整容
- 戸締まりの確認
この一連の流れを、30分〜60分という限られた時間で支援していきます。
デイサービスの送迎、時間とのたたかい
デイサービスの送迎もまた、毎日同じ時間に来るわけではありません。道路状況によって早く来てしまう日もあれば、大幅に遅れる日もあります。
早く来てしまった日は、こちらの支援がまだ終わっていないこともあり、焦ることも多々ありました。逆に送迎が遅れた場合は、次の訪問先の時間が迫る中で、ご利用者さまを一人残して移動しなければならないこともありました。そのたびに、「大丈夫かな…」と心配な気持ちを抱えながら、後ろ髪を引かれるように次のご自宅へ向かいました。
認知症と日常のリスク
認知症になると、どうしても「記憶」が不安定になります。新しいことを覚えるのが難しくなったり、ついさっきの出来事を忘れてしまったり。
たとえば、火を使うことが危険になるケースもあります。実際に、ガスの消し忘れで鍋を何度も焦がしていた方もいらっしゃいました。電子レンジの中に何日も前のお弁当が放置されていたり、冷蔵庫の中に明らかに傷んでいる食品が入っていたこともあります。
これは決して「だらしない」わけではなく、認知機能の低下による自然な現象です。近くにご家族がいらっしゃる方は、ぜひ定期的に冷蔵庫やガス周り、電子レンジなどをチェックしてあげてください。それだけで、事故や体調不良を未然に防げることがあります。
ときに不審者扱いも
認知症の方の支援で避けて通れないのが、「信頼関係の構築」です。でも、すでに何度もお会いしているはずなのに、「あんた誰?」「勝手に入ってこないで」と言われてしまうこともあります。最初はやっぱりショックでした。
でも、それはその方にとって、私が「初めて会う人」に見えているということ。つまり、身を守るために必要な防衛反応でもあるんです。「見知らぬ人に警戒できる」ということは、ある意味では安心材料でもあると感じています。
訪問時に「いない」こともある
支援時間に訪問しても、ご本人がいない——。そんなケースも、少なくありません。どこに行っているかわからず、ご家族にも連絡がつかない場合は、近所のよく行くお宅や、顔なじみの店まで足を運んで探すこともありました。
地域のつながりが薄れていると言われる時代ですが、介護においてはやはり「ご近所の見守り」が大きな支えになります。声かけやちょっとした気づきが、命を守ることもあるんです。
これから訪問介護を受けるかもしれない方へ
「訪問介護」と聞くと、どこか特別なことに感じるかもしれません。でも、実際は「当たり前の生活」を続けるためのサポート。歯を磨く、着替える、ご飯を食べる。それができることの尊さを、私はこの6年間で学びました。ご家族と一緒に暮らしていても受けられるサービスはたくさんあります。
介護のことを考えるのは、まだ先だと思っている方も、いつか必要になるかもしれません。そんなとき、少しでも参考になれば嬉しいです。

